小説・物語文の読みとり

 物語文の出題は、説明的文章に較べると、読み取りより生活体験や社会体験を問われる事が多い。また、文章自体の内容をつかむこと(もちろん大切だ)よりも、ひとつひとつの設問への答え方が重要になってきます。

 私が生徒によく注意することは以下のような点です。

文脈をはずさず、
全体を忘れず、
共通感覚(言葉のニュアンス・雰囲気)や心情、 ドラマ(展開)をつかみ、
おしはかる。
設問を良く読んで何を聞かれているのかしっかりつかむ。

 小学四年までは得意だったのに、五六年になってついていけなくなることがあります。これは中学受験で求められるものが、物語文でも知的操作で目に見えないものを抽象的に考える能力だからでしょう。 そして、それは中学生から高校生受験生の段階で再び繰り返されます。「文学的」文章では客観的な点が付けにくいという事情もあるにせよ。

 文学的文章を読みとれなかった場合の原因。

 まず、生活体験や知識や常識や感受性や想像力の差によって、登場人物の環境や心情、内容やたとえ想像できにくかったり、「自分勝手に」想像する場合があります。また、何かにつまずいて(たとえば、文章の雰囲気や流れ、時代背景や常識、場面変化や人物整理、ちょっと変わった表現や論理、会話文や単に言葉の使い方だったりするが)しっかりと読みとれていなかったりすることもあります。つまずきやすい所は出題もされやすいので、どこでつまずいたかチェックもしやすい。さらにまた、積極的な読み方ができない(しない)ため、あれこれ考えたり、自分と較べたり、他の物語と較べたり、先を予想して読んだり、いまここに無い場面を想像したりしない場合があるでしょう。あるいは、物語が苦手なのは感情的な何かが苦手な場合もあるでしょう。たとえば、家庭や学校で問題がある時は、物語文がなぜかよく読み取れないことがあると思います。それから、なんと言っても勉強のしすぎなどで疲れているというのは最悪の要因です。

 原因が分かれば対策も明瞭ですね。