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記述・説明問題

  • 書く内容を組み立てる
  • 後半部分から組み立て字数制限に適応する
  • 解答要素を決める
  • 消しゴムを使わないが下書きはする
  • 記述は性格が出るぞ。普段のおしゃべりが記述でもしゃべる
  • 抜出しの組み合わせと自分の言葉のバランス
  • 記述問題の指導方法

書き慣れること、話慣れること

 何より書き慣れることだ。だが多分、それ以前に話し慣れるというべきか。口から生まれた某女子はとりあえずは記述もスラスラといくが、何を尋ねても一言で返事をする某男子は記述も一言だけの傾向だ。一言でもポイントをつけば面白い。理論肌の生徒は感情的になることもないが記述でも気持ちが抜ける。もちろん、わけのわからないことを言って塾でうるさがられても記述は訳がわかることも当然ある。
 次に、読書などで文章のモデルが身に付いている場合は、うまく書ける。漱石読みならおおかた大文豪のごとき文章が書けぬこともなかろう。新聞を読み慣れた場合記述が比較的硬めのケースがあるとみられる。古典好きならば、おのづといにしえのやうに書かるるなり。マンガ好きの生徒の記述はガーーン!だ。たかがテストだが、読み書き話すのは生活の現れ。さらにまた、言葉・表現に対する愛着もあろう。練習するにも作文が苦痛では仕方がない。何の仕事も面白く思うだけでも少しは甲斐があるというものだ。

記述で要求されるものは?

 「浦島太郎はどうして亀を助けたのですか?」という設問に、どう答えよう。
 「子供たちが亀をいじめているのを見かけたから。」それとも「亀がかわいそうだと思ったから。」それとも「太郎は純朴な性質であったため亀を見捨てておくことができなかったから。」何が正しい答えかと言うよりは、どういう表現・読み方を要求されているのかという面がある。(ちなみに昔話のこの部分は明治になって道徳教育目的で?付け足されたもののようですよ。)

尋ねられたことに答える・伝えるために答える

 記述の心構えの第一は、「尋ねられたことに答える」という当たり前のことだ。日常生活で君たちが親に何か尋ねられたら、短い会話でそっけなくひとこと答えるだろ?「今日学校どうだった」「国語もぅ最悪」。それと同じ。この一言はポイントだから文末に置こう。記述の骨組みが先に決まる。「国語は最悪であった。」しかし、これでは何のことか親にはわかるかもしれないが一般には伝わらないので、何か加えてまともな文章にする。本文から追加したいのを探し出してくるか自分の言葉で工夫するか。解答要素を決める。理由、単に説明や状況、さらに、何々ではなくといったような対比や対義語を加えるといい場合もある。それで「いつもはすらすらと解ける国語のテストが今日はできなかったため最悪な気分となった。」となる。 いきなり頭から書きはじめる人が多いが、見通しが立ってないと途中で何度も書き直すことになり、どうやら時間と消しゴムが無駄になるようだ。字数制限にこだわりすぎずに、まずはおおまかに見通しを決めることだ。早く処理するためには消しゴムを使わず、下書き(的なこと)を自分の言葉で書き、本文の言葉など使うべきは置き換え文章として完成させることだ。

自分の言葉で書く

 抜き出しを組み合わせたりしたあげく意味の通らない文を書く人が多いが、読み直しをすれば変だとすぐにわかりそうなものだ。もし言葉の使い方を知らなかったとしても読み直しをすることでわかる部分もある。解答だけを単独で読んで意味が通じるか。短い文章でも自分の言葉として自立しているか。自立した記述は読みやすいはずだ。抜き出しを使うにしろいったんは自分の言葉という意識を持つ。たとえば、解答の中に「それ」とか「あれ」とか入ってるのは、出題文章に頼っているわけだから、自立しているとはいえないし、解答だけを読んで意味が通じない。同様に筆者独特の言い回しや比喩などもそのまま使って書くとおかしなことになる。「わかりやすく」言い換える必要がある。だが、まあ、日常生活でもアレがアレでああしたらと言って通じるから、ある程度の状況や常識を前提に書くわけだから、いちからすべて書くというのでなく、何を省略するか考えることだ。

尋ねられかた

 どういうことか説明せよ。理由を説明せよ。わかりやすく説明せよ。論旨に従って説明せよ。心情を説明せよ。文中の言葉を使って説明せよ。ほかに細かく条件がついている設問もある。まずは、文末を「から。」にするか「こと。」にするか「気持ち。」や体言止めにするか決める。少し迷うのは、どのくらい自分の言葉を使っていいのかという点だ。ここは、基本は自分の言葉だが、本文中にあればその言葉を優先して使うというスタンスでいく。だいたいは、本文中にある言葉を使う「引用」「要約」タイプと「全く自分の言葉で書く」タイプと「一部補強」タイプがある。中学受験では要約タイプは説明文、自分の言葉タイプは小説に多いが、大学入試では必ずしもそうではない。

対策

 小学生なら塾のテストも要素による採点がされるし、中学高校生なら定期テストには記述が多くやはり要素で採点されるので、定期テスト対策の折に要素を意識した記述のパターンを学ぶといいだろう。高校受験なら本文中の二箇所を組み合わせるタイプが多いとか、ある程度パターン化しているので、それを念頭に学習することになる。
 小学生から高校生まで、得意な人はずっと得意で、苦手な人はずっと苦しみ続ける記述式は、国語の学習動機や好き嫌いを大きく左右している。嫌いな人には、とりあえず字数制限を気にせず、自分の言葉で気楽に書くつもりで部分点を取るのがいいと指導している

記述・説明問題の指導

 さて、「説明しなさい」という問題は家庭教師としては教えやすいところです。
  一番良くあるパターン。生徒がある説明問題が解けなくて解答欄が空欄です。そこで、設問を私が少しくだいて問いかける。「早い話がどういうことや?」(関西弁)。すると、多くの場合、生徒は読めていれば「ああ、これこれや」と一言二言で答えます。そして、それが正しい答えの時が多い。あとはそれを難しくして解答欄に書くだけです。この場合、解答欄に書けなくても口頭で答えられるのだから、本当は答えを分かっているのです。設問に書かれている文章を理解できなかったのか、あるいは、それを自信を持って書き言葉でまとめて解答欄に書くことができなかったのです。
  小学生くらいだと設問理解の要因が、受験生になると表現力の要因が多くなると思いますが、いずれにしろ設問の意図を読み取り、書き表す、両方の力が必要です。傍線部分で何が問題となっているのかを認識する一種の常識、本文で必要なものを参照する読解力、整理して自分の言葉にする表現力、が必要でしょう。


 抜出したものを組み合わせるのは普段の要約の練習でなんとかなりそうですが、自分の言葉で書くとなるととたんに別の働きが要求されます。作文のように自分の好きなことを書くわけではなく、本文文脈という制限が課せられています。それは筆者になり変わって説明するようなことですから、相手の言葉を言い換えるカウンセリング能力、芝居の即興の能力と言えるかもしれません。